199X年2月X日。
 まだ3代目シルビアに乗っていた頃、オレはヒマにまかせてどこへともなく出掛けていた。たまたま3連休だった為、その日は「行けるとこまで」をモットーに(いつもそうだけど)、足の向くまま気の向くまま(これもいつもの事)、なんとなく車を転がすことにした。とりあえず北を目指す。なぜって、西は何も無いし、東は渋滞ばっかだし、南に至っては100Mも走れば海の中だからだ。

 とりあえず、河口湖まで来てみたが、特別何も無いので(一応メジャーな観光地だけど)さらに御坂峠を北上・・・しようと思ったが突然渋滞。「何でこんなところで」と思いつつ、のろのろ進んでいたら、なんと工事により片側通行。「3連休中に工事なんかするな!!」と、心の中で思いつつ、さらに北上。この頃開通したての雁坂トンネルで埼玉は秩父へ向かう。もちろんなんとなく。ちなみに、道は出来立てのほやほやだが(一部除く)、料金所のオヤヂ曰く「交通量は狸のほうが多いよ」。・・・・まるで北海道のどこぞの道路だよ。

 埼玉に入ったはいいが、次に何処に行こうか当然の如く全く決まってない。で、突然群馬県の赤城山で夕日を見たくなり、さらに進路を北へとることにした。数回の渋滞という困難を乗り越え、赤城山のふもとへ到着したのは、17:00。日没まであと30分。頂上到着までもあと30分(ナビの予定では)。「ぎりぎり間に合いそうだ」と思ったが、ちょっと不安なものが目に入った。そう、それは雪。ふもとにぽつぽつあるということは、当然山頂にもあるに違いない。「んじゃ、行けるとこまで行ってみるか」。・・・悪い癖だ。

 しかし道を登るにつれ、さらに不安をあおるように、続々と車が下ってくる。しかもチェーン付きで。あたりは少しずつ薄暗くなり、道の両端には雪の量が確実に増えていく。「・・・・やめよ」。マジでやばいものを感じた。このまま行けば今日の夕日は見れても、明日の朝日が拝めなくなるかもしれない。ちょうどT字路があったので、そこでユーターンをして、もときた道を引き返し始めた。

 しばらく走ると、左手にチェーンの脱着所があった。が、そこは一面雪だらけ。しかも道路にまではみ出ている。「気をつけないと」と思った瞬間、『ズルッ』、突然リヤが滑った!!。「何が起こったんだ!」と思った瞬間、目の前にはチェーンの脱着所と森が広がっていた。あわてて右を見ると、サイドガラスには道路と前方を走っていた車が見える。「おおおおお、なんじゃこりゃー!!!」完全にパニック状態になったオレは、思わずブレーキを踏んでしまった(それは絶対やってはいけない行為)。すると、車は完全に180度反転してしまったではないか!。しかもハンドルを切っても全く手ごたえないし。「やべー!!」さらに強くブレーキを踏み(だからそれが悪いんだってば)、ますます車は回転し、もはや手の施しようが無い。そうこうしているうちに、車は一回転してしまった。「チャーンス!!」とっさにアクセルに足を戻し、なんとか体勢を立て直す。

 心臓がバクバクし頭がクラクラするが、なんとかふもとまでたどり着いた。もしあの時対向車がいたら・・・、もし後続車がいたら・・・・、と思うとホッとしたという感情と、やばかったという感情が入り乱れて、心身ともにメチャメチャ疲れてしまい、家に帰るのがかったるくなってしまった。とはいえ、2月に車中泊なんて自殺行為なので、仕方なく関東平野を渋滞に揉まれながらひたすら南下し、家に帰りついたのは2:00。へろへろになった体をベッドに横たえると、「次は何処へ行こうかな?」と思うのであった。めでたしめでたし。